何日も、本を読みふけて、外に出る事を忘れていた。
そんな時だった。Nが、外に出ようと誘って来たのは。
確かに、家の中に引き籠ってばかりと言うのも、身体に毒だ。
快く引き受けて、僕はNと一緒に外へ出た。
ずっと引き籠っていた所為か、光が眩しい。
「チェレン、何処へ行こうか」
「ん……近場でいいよ。でも、空が広い場所が良い」
「そっか。分かった。じゃあ、行こうか」
カノコタウンから少しずれて、森の中へ入って行く。
森に響くのは、ポケモン達の鳴き声、風の音、川のせせらぎ。
ずっと歩いて行くと、広場に出た。
下は草原、見上げれば広大な空。
「うん、気持ち良い」
僕はそれだけ呟いて、草原に寝転がる。
同じ様に、Nも隣に横たわった。
「今度は、近場じゃなくてサザナミタウンへ行こうか。
海と蒼い空が広いよ」
「……そうだね」
N、直接は言えないけれど。
僕はこれからも、沢山の景色を君と見て行きたいんだ。

何処までも蒼い空を、君と共に見て行きたい。

完

後書き
かなり時間がかかって、書き上げました。
また書くつもりです。ここまでお付き合い下さり、
ありがとう御座いました!!

△閉じる△

青い空を見て、ふと思い出す。
僕が歩んで来た、長い旅路を。
プラズマ団との対立、トレーナーとのバトル。
沢山の人達との出会い。
その中で最も僕に影響を与えたのは、彼…Nとの出会いだった。
「チェレンは、綺麗だね」
「……それ、女性に言う言葉だと思うよ。
男に言う台詞じゃない。だったら、それを言う君の方が
綺麗だと思うけど」
男の僕が言うのも何だけど、整った顔つき、エメラルド色の
サラサラとした長い髪。男とは、思えない程に綺麗で。
「ボクは、君の方が綺麗だと思う」
一歩も引かず、Nは僕を綺麗だと言う。
不意に、頬に添えられた手が、暖かくて。
「ボクはね、チェレン。君と出会えてとても幸せだよ」
「……何、いきなり」
「ボクは、思った事を口にしたまでだ。
君と過ごす時間が、とても楽しいんだ」
後少しで、互いの唇が触れるところまで、彼の顔が近い。
「ボクは、君が好きだよ、チェレン」
「…………」
「君は?」
言うのに、躊躇した。
別に僕は、彼が嫌いでもない。好きでもない。でもそれは、別の意味。
「僕は、君が好きだよ。…別の、意味だけど」
「…そう、嬉しいな」
N、僕もね。君と会えて良かったと思っているんだ。
君といると碌な事はないけれどね。
でも、君と会えた事を良かったと思っているのは本当。
だから、僕は。
流れゆく時の中で、君と会えた事を誇りに思う。

完

後書き
いやいやいや、チェレンがこんな事言う訳がなry
まぁ、嫌な思い出もあるけど、それも全部ひっくるめて
楽しい思い出に変える事も出来るよね、きっと。うん、きっと。

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